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もったいない [ことばの元気学]

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新型インフルエンザについての政府広報のCM、見ましたか?
麻生さんが出てきて、しゃべるやつです。

麻生「政府からのお知らせです」
ナレーション「新型インフルエンザは、おそれることはありませんが、重症化しやすい方もいます。急な発熱や咳が出たら、まず、相談窓口に電話を」
麻生「冷静な対応をお願いします」

これって、すごくもったいないCMだと思いませんか。
別にお金がもったいない、と言ってるんじゃありません。
麻生さんが、CMにじきじきお出ましになるのがもったいない、というわけでもない。
では、何がもったいないか。

せっかく麻生さんがCMに出ながら、「政府からのお知らせです」と「冷静な対応をお願いします」という、はじめと終わりの2行だけしゃべって、あとは文字の画面とアナウンサーのナレーションになってしまっているのが、実にもったいないと、ぼくは思います。
いちばん大事な部分を、どうしてアナウンサーのナレーションにしてしまったのか。
どうして、麻生さんが、全編、いつもの麻生ぶしで、麻生さんの肉声で、国民に親身になって語りかけようとしなかったのか。
そこが、とても、もったいない。
その結果は、実に事務的な、つめたいCMになってしまった。国民のことなんか、あまり心配していないような感じになってしまった。

もったいない、というより、これはとても下手なやり方だと思います。
こういうときこそ、国民とのつながりを強化しなくちゃいけない。
みすみすそのチャンスを逃がしていると感じました。
もっとも、これは麻生さんの責任というより、広報の人たちの責任でしょうけどね。

いくら不景気でも、コミュニケーションまで貧乏になっちゃいけませんぜ。






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そんなの関係ねえ? [ことばの元気学]

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えーと、これから朝日新聞の「CM天気図」を書くところです。
4月から掲載日が木曜になったので、締切は毎週月曜です。
何をどう書くか、いま、かりんとうを食べながら考えているところです。
で、たぶん、この絵のようなことを書くと思います。
くわしくは、21日(木)の朝日を見てください。
新聞より先にここに書いちゃうと、新聞が新聞でなくなっちゃうから。

絵=ISAKO
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ダイジョブダイジョブ [ことばの元気学]

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ダイジョブダイジョブ、ダイジョブダイジョブ?


ほんと、民主党さんは大丈夫なんでしょうか。小沢さんひとりにふりまわされて。頼りないこと、おびただしい。こんなことで、政権なんて、とれるんでしょうか。
もっとも、近ごろは、喫茶店で水のおかわりを注ぎに来るウエイトレスさんが、「お水、大丈夫ですか?」なんて聞くくらいで。「としはとったけど、まだ二,三年は大丈夫です」と答えたら、きょとんとしていましたっけ。
「大丈夫」という言葉の意味も、ずいぶん軽くなったようで。

そう、「大丈夫」が「ダイジョブ」になった。
小島よしおは、そんな時代の空気を、巧みにくみ取ったんじゃないでしょうか。
ひどい世間も、みんなで「ダイジョブダイジョブ」と踊っていれば、なんとなくごまかせそうな。いまの世の中、どこもかしこも、そんな感じなんでしょう。

こんなことで日本は大丈夫かと思いますが、民主党の人たちに言わせれば、「ダイジョブダイジョブ」ってことなんでしょうね、きっと。小沢さんから鳩山さんへ「禅譲」なんてことをやったら、この党はもう国民に見切りをつけられて、ダイジョブでさえなくなると思いますけど。

絵=ISAKO
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餞別の味 [ことばの元気学]

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えーとですね、「広告批評」が終わるというんで、いま、あちこちの本屋さんで、「広告批評バックナンバーフェア」というのをやってくれています。
ここ、恵比寿アトレの有隣堂でも、入口にずらっとバックナンバーを並べて、派手にやってくれていました。
その前で、重厚そうなおじさんがひとり、熱心に見ているではないかと思ったら、なんとそれはぼくでした。だれもいないとさびしいので、ぼくがお客みたいな顔をしてバックナンバーを見ているふりをしたってわけです。そう、八百長です。
八百長といえば、広告批評の最終号には、いつもいい広告を作っている企業の方々が、たくさん、餞別広告を出してくれました。
餞別ですから、みんな、うれしいことを言ってくれる。ま、半分はお世辞で、つまり八百長みたいなもんですが、そこは広告の名門たち、読者を笑わせたり、泣かせたりしてくれるんですね。
で、今回は連休疲れのおなぐさみ、その一部をご紹介することにします。はい、まずはこれ。

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ご存じ、サントリーのBOSSですね。
「この惑星の広告批評にもっと批評されたかった」という宇宙人ジョーンズ氏の言葉がおかしい。笑えますね。次は、これ。

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なんと、ホワイト家のお父さんが、涙を流している写真。で、コピーは、「広告批評はもう叱ってくれないぞ!」。泣かせますね。笑えますね。ふざけてますね。
さて次は、日清カップヌードルと通販生活の広告。

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特に説明は要らないと思いますが、「通販生活」のほうは、なかなかひねりがきいている。「通販生活の広告」ではなくて、「通販生活という広告」というところがミソですね。つまり通販生活というのは、記事自身が「広告」だとも言える。いや、広告そのものだと言ってもいいでしょう。おなじような意味で、「テレビショッピング」も広告だとぼくは思っていますが、テレビショッピングが「悪質な広告」の典型だとすると、通販生活は「良質な広告」の見本だといっていい。そのへんのところを、ちゃんと批評してほしかったと、この広告は言っているのです。
これって、すごく面白いモンダイを含んでいるテーマなんですが、言いだすとキリがないので、そのことはいずれまた。

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これももう、説明は要らないと思います。とにかく、こういう餞別広告って、広告批評をひたすらホメてくれているわけで、一種の八百長であることはたしかです。広告批評の最終号に広告批評を悪く言う広告は出せませんからね。
でも、これって、広告批評をホメているだけかというと、実はそうじゃない。相手をホメることを通して、自分自身をホメている。「サントリーもソフトバンクも、ホメ方のセンスがいいねえ」と読者に思わせることで、好意の目はちゃんと企業に返ってくる、という仕掛けになっているのです。
こういう広告を見て、「広告批評がなくなるのは残念だなあ」と思ってくれる人たちがたくさんいて、それはそれでとてもうれしいのですが、それと同じくらい多くの人たちが、「サントリーやソフトバンクってセンスがいいなあ」と思ったに違いない。そこがすごいなあ、八百屋の長兵衛さん顔負けのプロだなあ、とぼくは思うんですね。

(念のために言っておきますが、ここで言っている「八百長」というのは、とても人間的な、ユーモラスなナレアイのことです。近ごろは「八百長=悪事=許せない行為」としか考えない人がときどきいるので、念のため)
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