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隠居なんかしてるときだ! [ことばの元気学]

谷内六郎さんは、持病のぜんそくで、若い頃から何度も入院をしています。
とくにひどかったのは、戦後の1950年代で、何度も入退院を繰り返されました。
そんな中で、1950年11月16日から翌年の3月4日まで、
国立熱海病院に入院していた時の貴重な絵日記が遺されています。
ちょっとその一部をお見せしましょう。
(撮影・筒口直弘さん)
病院2.jpg病院写真1.jpg
すごいでしょ。
すごい量の薬をのんだり注射をされたりする苦しい日々。
その中でも、ユーモアを忘れない心と、人間観察の鋭くて温かい目がちゃんと生きている。
やっぱり、この絵日記は、ぼくもほしい。手元において、ときどき見たりしていたい。
それには、これをそっくりそのまま復刻するしかないと、
完全復刻版をつくりました。(15×21センチ・174頁)
1冊だけつくるというわけにはいかないので、六郎の名にちなんで696部。
それに、すごく手のかかる少部数の限定復刻なので、一冊5000円になってしまいましたが、
ご関心のある方は、
表参道の山陽堂書店さん
銀座の教文館書店さん
青山と六本木の青山ブックセンターさん
に置いてありますから、ぜひ見てください。
白い箱入りで、箱の中には本体のほかにおまけも入ってます。
ついでに、谷内さんの「北風とぬりえ」もぜひ見てくれるとうれしい。

それにしても、こういう仕事は、商売意識があったらとてもできない。
これも隠居の愉しみだからできるんで、
「こんなご時勢に隠居なんかしている時か!」とぼくに言っている人には、
「そうさ、隠居なんかしている時だ!」とおこたえしたいと思っています。

病院日記.jpg
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さあ、引っ越しだ。 [ことばの元気学]

生活大国.jpg
えー、わたしもトシなので、ぼつぼつ生前整理を始めたのですが、捨てようと思っていた古い録音テープの中から、「生活大国へようこそ!」という旅行案内のテープが出てきました。
当時わたしは某観光会社で働く旅行ガイドの仕事をしていたのですが(注1)1993年に時の政権・宮沢喜一内閣が「生活大国5カ年計画」という花火を打ち上げたんですね。
それまでの日本は「経済大国」めざしてまっしぐらに走ってきた。が、もうそれも行き止まりっていうわけで、いままでの路線を「生活大国」に切り替えようとしたんです。
わたしは歴代の総理の中ではこの宮沢さんを高く買っていたし、この構想もなかなかいいと思ったんですが、その後まもなく、宮沢さんはつまらないことで首相の座から引きずり下ろされ、生活大国構想もうやむやになって、またぞろ日本は「経済大国」路線をやみくもに走ることになってしまいました。
が、いまの世の中、もう一度「生活大国」構想を見直してもいいんじゃないか。少なくとも、この国の再生を考えるヒントが、その中に少しはあるんじゃないかと思うんですね。
で、今回は、1993年にたくさんのお客さんの前(注2)でわたしがガイドした「生活大国へようこそ!」というテープを聞いていただこうと思います。
そうそう、上の絵は、そのときお客さまに見せながらしゃべったガイドマップです。はい、わたしがつくりました。では。
(注1)嘘。
(注2)嘘。



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いい國へ行こう [ことばの元気学]

いい國.jpg
この広告には、ちょっと驚いた。
きょう(7日)の朝日新聞にも書いたけれど、マッカーサーがパイプをくわえ、米軍機から丸腰で日本の地に降り立とうとしている。
これって、アメリカ人には「勝利」を、日本人には「平和」を広告する、絶妙な広告写真だったんじゃないかと思う。ここでのパイプは「余裕」の、丸腰は「平和」の表象だよね。

それにしても、66年前の原爆、そしてそれから66年後の原発。
二度も原子力にひどい目にあわされて、それでもまだ懲りない人たちがいる。
先日、テレビを見ていたら、自民党の石破さんがこんな意味のことを言っていた。

日本は核兵器を持った國に囲まれている。
いざというとき、日本も核兵器を作ることができるように、
原発は維持していなければならない。
それが、核の抑止力にもなるだろう。

原発が必要なのは、経済成長を続けるのに不可欠だからだ、という人だけじゃない。
核兵器をつくる余地を残しておくためだという人もいるのだ。
「いい國つくろう、何度でも」のしつこさも大切だが、
その「いい國」には原発があるのかどうか、
そういうことをしっかり考えながらやらなくっちゃ。

ま、被災地の復旧は待ったなしだから、手を休めてはいけない。
が、その一方で、「いい國」の青写真も、ちゃんと作っていくことが必要だろう。

その「いい國」のイメージは人それぞれだろうが、ぼくはこんなふうに思っている。

豊かさを測るモノサシは二つある。お金と暇だ。カネ尺とヒマ尺。
で、この二つのモノサシを使って測ると、いくつかの生活スタイルが浮かび上がる。

①貧乏暇なしの生活
②金持暇ありの生活
③金持暇なしの生活
④貧乏暇ありの生活

いうまでもなく①は敗戦直後の日本のような状態。あの頃は、ぼくも栄養失調でいまにもぶっ倒れそうな日々を送っていた。
②は①の正反対。グレース・ケリーというハリウッドの美女を妃にしたモナコの王様がいたけど、あの人みたいな生活。
③は世界一稼ぐビル・ゲーツさん。金はくさるほどあるが、忙しくて使う暇がない。
④を代表するのはガンジーさん。①ほど貧乏ではないが、金持ちとは言えない。暇があったかどうかはしらないが、糸車をゆったりまわすくらいの暇はあった。

というわけで、この4つの生活スタイルを主流にした4つの國のイメージがあると考え、その4つの國の位置関係を図示すると、次のようになる。
binbou.jpg

で、―ーと、これから本論に入るところだが、前置きが長くなったし、おなかもすいてきたので、つづきは次回に。

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