西の復襲

日本という国は、実は二つの国からできています。二つの国が合併して出来た国といってよろしい。
ふたつの国とは、東日本国と西日本国です。前にも話しましたが、日本国が成立した７世紀には、東日本と西日本は、ほとんど別の国でした。ま、大和朝廷が勝手に「日本」を名乗ることにしただけで、べつに東日本の人たちに同意を得る手続きをしたわけでもない。東日本のほうは、別に国家なんていう意識はなかったから、「勝手にすれば」と思っていたんでしょうね、よく知らないけど。
で、西のほうは勝手に、自分達が日本国の中枢だと思って、いろいろやってきた。その中枢が東日本に移ったのは、源頼朝（実権は北条氏）のときが最初ですが、本格化したのはやはり徳川家康以降ということになるでしょう。でも、そのときはまだ、天皇は京都にいましたから、実権が１００％東に移ったってわけじゃない。やっぱり、明治維新があって、天皇が東京に引っ越してきたとき、名実ともに東日本の東京が日本の中枢になったんですね。
ハイハイハイハイ、ここまでは歴史の授業ですが、薩長政府にいっぱい食わされ、天皇においてきぼりを食った西日本の逆襲の歴史が、実はこの時点から始まるんです。あんな東京なんて文化果つるところが、なんで日本の中心や、笑わせるな、あほぬかせ、というわけです。
だいたい、天皇さんは東京にちょっと行ってくる、と言って出かけていきはったんで、正式に引っ越されたんと違う。京都の御所にまた帰ってきはるんや、と、いまでも思っている人が京都にはたくさんいるくらいですからね。東京なんて、ばかにしきってる。
「上方」って、いまでもいいますよね。上方歌舞伎とか上方落語とか。昔は知らず、いまはもう上方ではないでしょう。東京から京都や大阪へ行く電車は下りですよ。上方は東京なんですよ。でも、がんこに上方と言い張っているのも、東京への復讐の一種だと言っていいでしょう。
ま、そんな復讐の歴史は、文科省検定の歴史の教科書にはのっていません。だからこそ貴重なのですが、が、その具体的な例を、ご紹介しましょうか。

たとえば、広告です。もともと広告の本場は、商都大阪です。が、そのリーダーシップを東京に奪われた。以来、関西の広告は、東京の広告の薄っぺらさを徹頭徹尾おちょくるというか、こけにするというか、やっつけるというか、そんな精神で作られるものが多くなりました。それは明治にはじまって、いまも続いています。
「さかい～、やすい～、仕事きっちり～！」
ってＣＭ、知ってますよね。さかい引越しセンター。あれこそ、大阪ですね。
東京は、ああはいきません。もっとかっこつける。
♪ア～ト引越しセンターへ～
といったぐあいです。大阪人から見たら、たかが引越しで何がアートや、何を気取ってるんや、ということになる。
次は、墓石の広告。東京はこうです。
「永遠のメモリアルアート」
それが、関西だと、こうなる。
「墓のない人生は、はかないなあ」
わかりますね、違いが。「墓のない人生は、はかないなあ」のリアリズム。人間観の成熟。感動的なばかばかさ。ま、関西人に言わせれば「永遠のメモリアルアートなんて、そんなところにうちのじいさん入れたら、たまげて生き返ってしまうわ、あほくさ」ということなんでしょう。ぼくは東日本国の住人ですが、死んでも「永遠のメモリアルアート」にだけは入りたくありません。
というわけで、西の広告には、感動して数日は立ち上がれなくなるようなものが、ぞろぞろあります。今回だけではとても紹介しきれないので、次回にたっぷり、うんざりするくらいご紹介することにしましょう。

ところで、先日、四国松山と京都へ行ってきました。松山から大阪伊丹への飛行機がプロペラ機で、低空を飛ぶ。で、そこから見る瀬戸内海は、まるで赤福のようでした。で、京都からの帰りに赤福を買ってきてしまったというわけです。ぼくが「日本三大こしあん」のひとつにあげている赤ちゃんを、ま、一口どうぞ。

コメント 54

やっと、やっと天野さんがアップしたのねぇ～！感動♪
でも天野さんはお忙しいお人ですからあんまり無理なさらないで下さいね。こんな時間に私もあんころじいアップしてないかなぁってブログを毎日覗いてました（笑）
天皇陛下は京都から東京にお引越しされたんですねぇ。
でも、ちょっと行ってくるとおっしゃったんだったら京都にお帰りになればいいのにー！と思ってはあきまへんか？
京都の方が天皇陛下一家にはぴったりのような感じがしますけれど・・
京都に限らず、大阪の人も東京をバカにしてるとは言いませんが、故郷を誇りに思ってますよね。絶対言葉なおさへんもん（笑）
でも、東京人って田舎人の集まりなのに何故東京にきたら、東京の
気取った雰囲気にまかれてしまうのでしょうか？
本当はみんな田舎者のくせにぃ～！
私もその一人です（はい）
サカイ引越センターのCMには腰を抜かしましたが（爆）
上方歌舞伎とか上方落語の意味がよく分かった私です！
徹頭徹尾が読めないんですけどぉ・・・なんて読むんですかぁ？
バカでごめんなさい（キ▼д▼；）トホホ・・
また、こんな時間に赤福ぅ～！もうやめて下さい！食べたくなります！
今から食べたくなってしまって買いに行こうにもどうしようもないじゃないですかー！！あかふくちゃぁ～ん・・・
天野さん、夜中に食べたらあきまへん！身体こわしますぇ～
by スティッチの親分 (2006-01-28 00:31) 

初めまして、いつも楽しく拝読しております。（私、粒あん派です、、）
西日本国民として、近頃気になっていること。京都御所内に立派な京都迎賓館を建設して、新興国アメリカのトップをご招待していましたが、あの迎賓館、本当は東京が地震で機能停止状態に陥った時に備えての、天皇ご一家の避難場所ではないかと思っています。
皇居が避難民であふれたときに、ご一家はヘリで脱出されるのでは、、。そうなれば京都人は「お帰りやす！」と出迎えるんやろか。
あり得る。
ところで赤福は絶品です。関西人は修学旅行でお伊勢さんへ行き、定番お土産の赤福を買って、味をインプリントされてます。かく言う私も近鉄の売店で必ず買ってしまうひとりです。これは確かに極上こしあんです。
by うり坊 (2006-01-28 11:51) 

おはよう御座います。
私は東日本国民ですが、京都の文化ひいては上方文化にはけっこう興味をもっています。
ひっこしのサカイのCM、本当に大阪ですね～！
「さかい～、やすい～、仕事キッチリ！♪」笑えるなかに漂うこのリアル感！まさに商都大阪ならではではありませんか。
広告の発信源もまた大阪なんですよね。
たとえば、森下仁丹。御存知の「将軍マーク」が世間に流布する前、現在の森下仁丹株式会社前身・森下南洋堂は、いきなり当時のプロイセン（現在のドイツ）で「鉄血宰相」とうたわれた、かのビスマルクの肖像をドカーン！！と大衆治療薬の広告のヴィジュアルに使って、世間の度肝を抜いた、といいます。
このオーヴァー感こそ、まさに商都大阪ならではです。キンチョーもグリコもオーヴァー感が漂っていて、大好きなのです。
その一方で京都文化に代表される洗練感（詫び寂びもその一部なのですが）そなえている。正に西日本の文化はヴァラエティーに満ち溢れていて、それがまたなんともいえないクオリア（いかん、これは脳科学者・茂木健一郎さんの“受け売り”だ！）を醸しているのです。さすが関西！といいたいところです。
さて、私も10年ほど前に赤福を食したことがあるのですが、これがまた甘過ぎず、あっさりしていてうまかった！正に絶品ですね。
東日本には東日本のよさがありますけど（粋でいなせな、というような）
西日本の文化の豊穣さも捨てがたいです。
by 銀鏡反応 (2006-01-29 09:21) 

　博識のある天野さんにnice!をつけること自体、失礼かもしれませんが、お許し下さい。内容の品格に圧倒されます。中身で読ませるブログに初めて出会いました。これからも楽しみにしています。
by ラガブリコ (2006-01-29 13:42) 

ご免下さい、天野さん。
以前、不躾に意見しましたことをお詫び申し上げます。
私は東日本と西日本の境で育った土地柄、｢上り｣は東京、｢下り｣は大阪、という奇妙な認識があります。家康や信長を輩出したこの尾張・三河の地は、東日本に区分されていますが、文化・習慣はどちらか一方に属しているのでもなく、かつ独特のものを形成しています。味噌カツ、手羽先といった周知の食文化もそうでしょう。伊勢赤福は名古屋駅でも購入できますが、お伊勢さんで買うものとは少し違うんですよ。後者の方が、あんこがピンクがかっていて餅も柔らかい気がします。機会があれば比較してみてください。あんこが残ったら、お汁粉として頂いても楽しめます。
by からたちの花 (2006-01-29 14:36) 

天野さん、こんばんは。
この、あんころじいのブログ同様、木曜日の朝日新聞のＣＭ天気図も楽しみにしています。
引越しのサカイのCM大好きです。
新バージョンを心待ちにしている位です。
「お引越しのお祝い返しも・・・」
キャンデーズの微笑み返しをベランダで口ずさむ。
後ろでお引越しの業者さんが働いている。
あのＣＭ絶対東京作だと思います。
働き者の九州育ちの私はあのCMみるたびに、歌ってないで働けよってつっこみたくなります。
by ｔａｍｉ (2006-01-29 23:36) 

いつも拝見しております。
１８年前、渋谷での編集者の専門学校？で天野さんが講師としていらっしゃってました。こちらで再度、お会い出来？嬉しく思ってます。
少し大人になり、やっと天野さんのお話についていけるようになったようです。毎回、楽しみにしてます。ちなみに私は東日本国民です♪
by maporin (2006-01-30 00:47) 

またまた美味しそうな赤福ですね。
何故か東京で友人に食べさせてもらいました。
で、このざぶんざぶんと波間をみていて
いろんな海の歌を思い出しました。
教科書に、童謡の「我は海の子」とか「うみ」は現在載っていないということをTVで聞いた事があります。もったいないなと思います。
大阪の広告は、豪儀にハッピーに人を笑わせるという、プライドがあるのだと思っていました。笑ってナンボ、笑わせてナンボと。
節約のせっちゃんとかも、またスゴいなぁ…と思った。
by nina_day (2006-01-30 08:14) 

こんにちは＾＾私は関西よりの人間です。関西のお笑いを肌で感じて来て育ってます。そやさかい二人寄ったら漫才調になってしまいます＾＾；
関西のＣＭってほんまキャラクターが凄い強いからいつまでも頭に残るんですよね～。関東の方は凄い綺麗ですし決まってますが印象はあまり残らない様な気がします。。。。

赤福はほんと美味しくて今では何処でも手に入るようになりましたね
結構数食べれるんです＾＾
次回は何でしょうね？いつも楽しみなんです。
by anmomo (2006-01-30 12:54) 

「スティッチの親分」さん。たしかに関西の人は言葉を変えませんね。明治以降、国家はほとんど強制的に共通語（標準語）を使うように全国に働きかけてのですが、関西だけは頑固に関西弁にこだわりつづけました。沖縄なんかは戦時中、ひどい圧迫を受けて、学校で方言を使った子には、首から「私は方言を使った」という「方言札」をかけさせて、炎熱の校庭に何時間も立たせた、という記録が残っています。一種の占領政策ですね、これは。
それでも、関西は言うことをきかなかった。意地ですね、民族の誇りですね。それを思えば、夜中にあんこを食べるくらいの苦労は、苦労の内に入りますまいよ、親分。

「うり坊」さん。京都御所のなかの迎賓館は、たしかにおっしゃるとおりのものかもしれませんね。すごい想像力に敬意を表します。

「銀鏡反応」さん。仁丹、グリコ、壽屋（現サントリー）、金鳥…、本当に大阪は広告の街です。そのリアリズムは、近松や西鶴以来のものでしょうね。脱帽です。

「ラガブリコ」さん。ようこそ。バカ話ですから、お気軽に遊びにきてください。

「からたちの花」さん。お久しぶり。ちょくちょく来てください。赤福は伊勢で買ったほうがうまい気がする、というご意見にギクッ。伊勢まで食べに行かないと、えらそうなことは言えませんね。

「tami」さん。おっしゃるとおり、「微笑み返し」のＣＭはおっしゃるとおり東京製。それも典型的な東京製ですね。ところで、九州の人は東京人と大阪人と、どっちが好きなんですかね。

「maporin」さん。ようこそ。おひまがあったらのぞいて、どんどんコメントしてください。待ってます。

「にーな」さん。象印は、ホント、すごいですね。ぼくも大好きです。節約のセッチャンもすごいけど、去年のサ－モグラフィのＣＭは、とくにすごかったと思います。

「anmomo」さん。東京にもいいものはあるんですが、どうもうすっぺらで。いや、うすっぺらは別に嫌いではないんですが、イキじゃないんですね。東日本国民の、そこが悩みです。
by あまの (2006-01-30 21:29) 

Good blog!
http://dublinhotels.blogsource.com/
by Dublin Hotel (2006-03-21 01:20) 

Lyon hotels
by Lyon hotels (2006-03-24 04:09) 

Hamburg hotels
by Hamburg hotels (2006-04-04 22:18) 

Dallas hotels
by Dallas hotels (2006-04-07 23:07) 

Zurich hotels
by Zurich hotels (2006-04-14 01:13) 

Monterey hotels
by Monterey hotels (2006-04-17 22:07) 

Miami hotels
by Miami hotels (2006-04-18 20:52) 

Oklahoma City hotels
by Oklahoma City hotels (2006-04-19 10:19) 

Columbus hotels
by Columbus hotels (2006-04-21 01:07) 

Fort Lauderdale hotels
by Fort Lauderdale hotels (2006-04-23 20:07) 

Kansas City hotels
by Kansas City hotels (2006-04-26 20:10) 

Las Vegas hotels
by Las Vegas hotels (2006-04-27 21:07) 

Washington hotels
by Washington hotels (2006-04-29 09:39) 

Cologne hotels
by Cologne hotels (2006-05-04 09:28) 

Albuquerque hotels
by Albuquerque hotels (2006-05-05 09:45) 

Hamburg hotels
by Hamburg hotels (2006-05-05 10:56) 

Richmond hotels
by Richmond hotels (2006-05-05 21:19) 

Cancun hotels
by Cancun hotels (2006-05-09 15:29) 

Buenos Aires hotels
by Buenos Aires hotels (2006-05-12 08:23) 

Portland hotels
by Portland hotels (2006-05-13 00:59) 

Prague hotels
by Prague hotels (2006-05-17 20:02) 

Vienna hotels
by Vienna hotels (2006-05-18 13:03) 

Cologne hotels
by Cologne hotels (2006-05-18 13:56) 

Prague hotels
by Prague hotels (2006-05-22 06:17) 

New York hotels
by New York hotels (2006-05-23 02:45) 

Greenville hotels
by Greenville hotels (2006-05-25 04:15) 

Sydney hotels
by Sydney hotels (2006-05-25 17:39) 

Dubai hotels
by Dubai hotels (2006-05-26 16:54) 

Virginia Beach hotels
by Virginia Beach hotels (2006-05-26 20:27) 

Amsterdam hotels
by Amsterdam hotels (2006-05-29 19:52) 

Mexico City hotels
by Mexico City hotels (2006-05-30 10:52) 

Tampa hotels
by Tampa hotels (2006-06-01 02:19) 

Tucson hotels
by Tucson hotels (2006-06-02 17:27) 

Nice hotels
by Nice hotels (2006-06-07 23:47) 

Puerto Vallarta hotels
by Puerto Vallarta hotels (2006-06-08 03:09) 

Jacksonville hotels
by Jacksonville hotels (2006-06-09 02:02) 

New Orleans hotels
by New Orleans hotels (2006-06-21 05:44) 

Sorrento hotels
by Sorrento hotels (2006-06-23 04:40) 

Best Hotels
by Hotels (2006-06-27 08:14) 

Lisboa hotels
by Lisboa hotels (2006-06-30 16:27) 

Zurich hotels
by Zurich hotels (2006-06-30 19:25) 

Milan hotels
by Milan hotels (2006-06-30 20:46) 

Berlin hotels
by Berlin hotels (2006-07-04 21:46) 

Hamburg hotels
by Hamburg hotels (2006-07-05 06:26)