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しつこく寄り道 [あんこ学]

前回の最中は、横浜の喜月堂の最中です。前に写真をのせたときに書いたつもりでしたが、抜けていました。逸品です。いや、別品です。
一茶についても、抜けていることだらけです。それを少しだけ、埋めておきます。
俳句に口語調を取り入れたのは、一茶が最初だという説もありますが、じつはもっと古く、芭蕉の弟子の惟然(いぜん)あたりからはじまっているようです。
  水鳥やむこうの岸へつういつうい
なんていうのがあるんです。こういう口語をとりこむ動きは、その後、ちょっとしたブームになったようですが、やがて消滅する。それを一茶が、100年後に復活したということでしょうか。
  うまそうな雪がふうわりふうわりと
  ああ寒いあらあら寒いひがん哉
  ああままよ年が暮れよとくれまいと
こういう句を見ていると、一茶という人は自分をとりまく自然やら風物やらをすべて人間化していく人なんだな、という気がしてきます。そこが、自然や風物のなかに自分を無化していく芭蕉や、自然や人間を客体化してとらえていく蕪村との、大きな違いがあるように思うんですね。
ま、自分でもよくわからないことはこのくらいにして、一茶の句をもう少し紹介しておきましょう。
  春雨に大あくびする美人かな
  露の世は露の世ながらさりながら
  うつくしや障子の穴の天の川
  秋風やあれも昔の美少年
  猫の子がちょいと押さえるおち葉哉
  ざぶりざぶりざぶり雨ふるかれの哉
  大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
  是がまあついの栖(すみか)か雪五尺

きょうの目のおもてなしは、到来品の白小豆羊羹です。小金井の和菓子処「里の木」の銘菓ですが、竹の皮の包装が好ましい。薄墨色の羊羹のなかに、うっすら浮かんで見える白小豆がまた、なかなか風情があります。では、いただきます。
   


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スティッチの親分

きゃっほ~!また一番だぁ~~!
天野さんがレスポン♪
「森の石松」学校で習わなかったんです。だから、私も内容はあまりしらなかったアホアホ星人でした。でも、どこで教えてもらえばいいでしょうか(キ▼д▼;)トホホ・・
一茶という人は自分をとりまく自然やら風物やらをすべて人間化していく人だった!なるほどです!!
最近、よく動物や可愛い商品や食べ物を見つけると「この人可愛い~!」と若い人達なんかよくいいますが、これは人間化していってる訳ではないんですね。
みんなが使うから、私も移ってしまい「この人」「あの人」って犬に「人」をつけてしまうようになりました。ヤバイのかいい事なのか・・
こんな時間から羊羹なんて食べるんですか?ここのブログは夜中に見ては危ないです!誘惑に負けて食べてしまいそうです。
横浜の喜月堂の最中が食べたいです。
天野さん、こんな時間にあんこばっかり食べるのは身体に悪いですよぉ~
by スティッチの親分 (2006-01-21 00:31) 

nina_day

喜月堂の最中のあんこ!(^^)そう思ってました。綺麗なんだけど、「どーん!」って感じ。腕組む白達磨さま。
さて、スティッチの親分さんに同意見!自分は昨日はあんこ入りの飴を買ってました。明日、それこそ羊羹か、甘納豆を買いそうです。
秋風やあれも昔の美少年
春雨に大あくびする美人かな
一茶の風刺って面白いですね。オールマイティ、バイタリティを感じます。
なんだか頼もしさを感じます。一瞬なのに永遠さ。
by nina_day (2006-01-21 04:32) 

sola

おこがましくも勝手なことを口走りますが、一茶さんの句は、わかりやすいですねぇ。情景を思い浮かべてニヤリとなります。あんこ繋がりでこちらにお邪魔させていただいて、面白いことに出会っちゃいましたよ。お得!(笑
しろあんの次は、白小豆ですか。
薄墨色の中にあっても染まらない、白小豆の存在に、一茶さんと同じ別品さを感じます。お味はいかに!私は、何時でもいいから食べたいヨォ~。。。
by sola (2006-01-21 10:58) 

銀鏡反応

こんにちは。
前回のエントリーで、一茶は「白あん」と。おお!参りました。降参であります。それにしてもあの白あんてんこもりの、ピンクの皮のもなかは横浜の喜月堂というところのものだったんですね。あんの色とピンクの皮の色がちょうど似合っています。なかなかの、美味しそうな配色です。一茶の句を見ると、情景が絵になってぱーっと浮かんできます。
「うつくしや障子の穴の天の川」なんて、障子に開いた穴から暗い夜空に燦然と輝く天の川を見つめているようすが、手に取るように浮かんできます。きょうのおもてなしは、白あずき羊羹ですね。こりゃ珍しい。薄墨の世界に白い小豆が浮かぶさまが風情あるというか別品といいますか…。
by 銀鏡反応 (2006-01-21 13:55) 

gillman

一茶好いですねぇ
僕は写真が好きなんで、いつも一茶のような写真を撮りたいと思ってシャッターを押していますが、いけませんねぇ
難しい
どうしてもうまい写真を撮ろうとか
他人の作風が頭をよぎったり
自分の心に写った風景がそのまま出せません
もっともそれ以前の技術の問題の方が大きいんですが…
by gillman (2006-01-21 23:06) 

おさる

ごぶさたしてしまいました。
一茶の句って2万句もあるんですね。すごいすごい。
最近、どうして学生のときにもっとしっかりと
勉強しておかなかったのかと後悔しています。
自分で興味を持たないと駄目なんですね。
一茶は別品ですか?勉強不足で判りませんが、
「うまそうな雪がふうわりふうわりと」は、
実際、子供の頃に降ってくる雪をぱっくりと食べていた私には、
ああ、わかる、わかると・・・。
あれ?わたしが食いしん坊なだけですか?
今日、降っている雪もおいしそうでし!!
by おさる (2006-01-22 00:18) 

gillman

あ、ひとつ書き忘れちゃいました
家の近くに「炎天寺」というお寺があるんですが
そこに一茶の句碑があります
■蝉鳴くや六月村の炎天寺
(他にも、村雨や六月村の炎天寺、という句もあるそうです)
という句ですが、ほかにも一茶はここで
■瘠蛙負けるな一茶ここにあり
という句もこの寺の蛙相撲を見たとき詠んだとされています
今でも一茶の命日の十一月には一茶祭が行われています
by gillman (2006-01-22 10:07) 

anmomo

こんにちは。
天野さんのおもてなしはいつも目の毒になります><
どれも美味しそうで買いたくなってきます^^
いつもご自分で探して来られるんですか??本当にあんこが大好きなんですね^^

一茶さんの句は「別品」なんですね。
おさるさんが書かれてた事に賛同しました。
「うまそうな雪がふわりふわりと。。。。」私も子供の頃初めて雪を見た
時に思わず口に運んだ事を思い出しました。
本当にふわふわで美味しそうに見えるんです。今でも雪の降る所に
住んでますが、真っ白な綺麗な雪を見るたびに食べたくなるんですから
by anmomo (2006-01-22 13:49) 

シロナガスクジラ

こんにちは。
天野さんの「あんころじい」に触発されて、
昨年の忘年会から今年の新年会にかけてアンケートを取りまくってみました。
なんとか100名を超えたのでご報告します。(シロナガスクジラ調べ・ちなみにこしあん派)
質問:【(こしあん)と(つぶあん)、どっちが好き?】

●集計結果…総数105名
(こしあん)派      22名
(つぶあん)派     61名 
(決められない)派   22名

●男女別… 男性61名・女性44名
女性
(こしあん)派      12名
(つぶあん)派     27名 
(決められない)派    5名

男性
(こしあん)派      10名
(つぶあん)派     34名 
(決められない)派   17名

●意見
(こしあん)派
・手が込んでいる。
・こくがある。
・上品な甘さを感じる。
・舌触りが好き。
・高貴、洗練されている。
・赤福が好きだから。
・ようかんが好きだから。
・あずきの皮が歯にへばり付いて恥ずかしい思いをしたから。

(つぶあん)派
・つぶの食感が好き。
・甘さが和らぐ。
・おはぎが好きだから。
・こしあんの喉にまとわりつく感じが嫌い。
・まずいこしあんが多い。つぶあんは味が安定している。
・こしあんに比べてカラダに良い気がする。
・大人になったらつぶなんが好きになった。
・あずきとマーガリンは相性抜群。
・二日酔いに効くから(桃井かおりさんが言っていた)
・ドラえもんの大ファンだから(ドラ焼き好きのドラえもんは絶対につぶあん派)

(決められない)派
・これまで考えたこともなかった。
・用途によって好みが変わる(ようかんはこし・ドラ焼きや鯛焼きはつぶ…)。


※全般的に、(こしあん)派はつぶあんも好きだと友好的発言が多いのですが、
(つぶあん)派はこしあんを認めない強硬派が多くて
シバシバ飲みの席が荒れ模様になることも…。
(こしあん)派の「ホントにおいしい(こしあん)を食べてから言いなさいよ」という意見に
妙に納得してしまいました。
by シロナガスクジラ (2006-01-22 15:19) 

わかば

俳句に口語調を取り入れたのは、一茶さんよりも古かったんですね!!
今回の句では、「猫の子がちょいと押さえるおち葉哉」という句が好きです。動いているから飛びついたんだろうなって感じで分かりやすいですね。

それから、シロナガスクジラさんのアンケートはすごいですね。
(こしあん)派はつぶあんも好きだと友好的発言が多いけど、(つぶあん)派はこしあんを認めない強硬派が多いという点は分かる気がします。というか、実際に私の周りにもそういう人が多いと思います。
そして、(こしあん)派から「ホントにおいしい(こしあん)を食べてから言いなさいよ」と言われ、(こしあん)の美味しさを知ったのは私だったりします。
百聞は一食に如かずって感じですかね…
 今度、シロナガスクジラさんのアンケートを参考に職場でしてみたいと思います。
by わかば (2006-01-23 03:20) 

あまの

「スティッチの親分」さん。ちいさな子が、りんごを「りんごちゃん」と言ったり、月を「お月さん」なんていうのも人間化ですね。「ステッィッチの親分」だって、そうですね。こういうのは、幼児に特有の現象ですが、一茶の作法の「人間化」と、つながっている部分もあります。幼児は人間から月を見ますが、一茶は人間から月を見つつ月から人間を見る。イマジネーションが往復の回路になっているんですね。親分も、子分のスティッチたちの目から、自分を見てくださいね、親分。

「にーな」さん。あんこちゃんはからだにいいんです。困るのはさとうちゃんです。でもまあ、お互い、ほどほどに。ぼくもこのブログをはじめてから、かなりおなかちゃんが出てきました。

「sola」さん。一茶のつぎは、どこへ行こうか。松山への往復の飛行機の上から、こしあんのような瀬戸内海を見ながらぼんやり考えていたら、瀬戸の海が赤福に見えてきました。あずきに、じゃない、あきずに遊びにきてください。(さぶい、この冬は)

「銀鏡反応」さん。「一に芭蕉、二に蕪村、三、四がなくて五に一茶」と言った人がいますが、やっぱり一茶は五位ではなくて、別格ですよね。でもぼくは、実は蕪村がすごく好きなんです。

「gillman」さん。自分の心に映った風景をそのまま出すって、ほんと、物書きにとっても至難のわざです。そうなりたいですね。そうありたいですね。もっと心を空にしないとね。こしあんにしないとね。

「おさる」さん。こんなブログをおもしろがるあなたは、かなり物好きな方です。で、物好きということは、おもしろがり屋ということです。で、おもしろがり屋ということは、勉強家ということです。まちがいなく、そうでし。

「anmomo」さん。東京と四国しか住んだことのないぼくは、あまり雪
を知りません。ただ、小学生のときに集団疎開で行った長野の野沢温泉で、地表を埋め尽くしている真っ白い雪を見ました。それ以来、東京で見る雪は薄汚れていて、白く見えないのです。だから、♪東京でみる雪はこれが最後ねとさびしそうにきみがつぶやく、のを聞くと、灰色の風景が目に浮かんでしまうんですね。その点、一茶の句は、目をつぶって口ずさむと、目の前に真っ白い雪がふうわりと見えてくる。そこがすごいと思います。

「シロナガスクジラ」さん。いやあ、ありがとうございました。案の定、つぶあん派が強い。とくに面白かったのは、つぶあん派にはこしあんを認めない強硬派が多い、というデータです。なんとなく、わかるなあ。こしあんみたいな軟弱なあんこが、いや、人間が許せなかったりして。そういうやつが、ニッポンをだめにしているんだなんて言ったりして。いや、とにかく、貴重なデータとして、大いに活用させてもらいます。

「わかば」さん。わかばさんは四国松山の人ですよね。東京よりはこしあん派が多いように思うのですが、機会があったらぜひ調べてください。松山あたりは、こしあん派の最後の砦ですからね。そこでもつぶあん派が、小泉自民党のように圧勝したら、これはもうたいへんなことになる。よろしく。
by あまの (2006-01-25 12:17) 

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