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優雅なもの [あんこ学]

優雅なもの!
淡色に白がさねのかざみ!
雁の卵!
カキ氷にシロップを入れて、新しい銀のカップに入れたの!
水晶の数珠!
藤の花!
梅の花に雪が降りかかってるの!
メッチャクチャに可愛い子供が苺なんか食べてるの!

これ、知ってますね。そう、清少納言の「枕草子」第四十二段ですね。
ただし、これは原文ではなく、現代語訳。橋本治さんの「桃尻語訳枕草子」です。
いいんだよね、この訳文がまた。有名な第一段の冒頭「春はあけぼの。」のところは、「春って曙よ!」になってる。「面白いけど、やりすぎじゃない?」って、当時、橋本さんに会った時に言ってみたら、「これでいいの。彼女はこういうノリの人だったの」と叱られました。そうか、清ちゃんはこういう人だったんだ、と、以来ぼくは、清ちゃんにすごい親近感を持つようになりました。林真理子さんみたいな人だったのかな。
ま、それはともかく、この「優雅なもの」(原文は「あてなきもの」)のなかに、「カキ氷にシロップを入れて」とあるのには、びっくりですよね。1000年も前にカキ氷があった! いや、あったんですね、これが。でも、まさかシロップはないだろう、と思うでしょうが、これもあったんです。原文は、「削り氷にあまづら入れて」となっているのですが、氷を小刀でけずって甘葛煎(ツタからとった甘味料)をかけて食べたんです。たぶん、氷みぞれみたいなものでしょう。貴族の子女が、こういうのを食べている様子は、たしかに優雅だっただろうなあ、と思います。
ただし、この時代にはまだ、砂糖はなかった。砂糖が外国から入ってくるのは、まだだいぶ先のことです。でも、もしこの時代に、甘いあんこがあったら、清少納言は、氷あずきを食べたかも知れない。で、それはぜったいにこしあんであろうと、ぼくは確信しているのです。その確信はどこから出てくるか。それは次回のことにして、今夜は虎屋の最中を食べて寝ます。たぶん、優等生的な味でしょうね。
そうそう、虎屋って、室町時代からお菓子屋さんをやってるんですねえ。えらいですねえ。よくあきないですねえ。ま、あきない(商い)っていうくらいですからね。(お前、疲れてるよ、さっさと食べて寝なさい)





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anmomo

またまた、興味深く読み入ってしまいました。「カキ氷」と言う物が
1000年もの昔にあったなんて。。。ビックリですし。シロップに代わる
ものも合った事にも驚きです。一般的だったんでしょうか???
どんな感じの味なのかもまたまた興味がありますが。。。。。。
あまのさんは「こしあん」をのせて頂くんですね。単純なシロップ掛けなら「ミルク」なんかもと思ってしまいます。邪道でしたか?(笑)

そうそう虎やと言えば羊かんですね。でも結構なお値段なんで
そういつも頂く事は出来ませんが。。。。頂けた時は凄いテンションが
あがります^^
寝る前に最中を頂くんですか?つまらない事なんですが、どうして
「最中」って言うのでしょうか??どうして「最中」の皮って食べると
口の中にくっ付いてしまうんでしょうね。中々取れないんです。
美味しいのですが。。。。。皮が。。。って成ってしまいます。
by anmomo (2005-12-21 07:02) 

オ 寒

 「水のおもにてる月なみをかぞふればこよひぞ秋のも中なりける」    源順
この歌辺りが語源のようです。作者は(みなもとのしたごう)と呼ぶようです。この歌が歌われた宴にでた白餅が(お菓子らしい)満月(中秋の月)に形容され、このお菓子が最中と呼ばれ、たがて最中はあんこを包んだ現在の物になったようです。
あんこだけでは食べるに厳しいものが、あの薄い皮のお陰で秀逸にばるから不思議と思っています。さて僕は最中はつぶ餡派です。そう言えば正方形の最中の方が僕には一般的です。そうすると「最中」と呼ばずはて、何とお呼びしたらよろしいんでしょうか?
by オ 寒 (2005-12-21 10:23) 

sola

うわぁ~、林真理子さんのような方ですか?!
とたんに親しみがわいてきました。同じ時代に生きていたら、お友達になりたかった(笑
虎屋さんのではないのですが、先ほど偶然最中をいただきまして、
そしてこちらにお邪魔したら……思わず書き込ませていただきました。
最中の皮ですが、どうやら口の中にくっつくのとくっつかないのがあるようですよ。ちなみにさっきいただいた源吉兆庵さんの最中はくっつきませんでした。
「商い」と「飽きない」
山田く~ん、天野さんに座布団持ってきてあげて!!
by sola (2005-12-21 14:44) 

斉藤ようこ_nina

酒井順子さん(負け犬の遠吠え、を書いた方)が、同じことを「枕草子Remix」という本の中で書かれていました。
適度にミーハーで、美しい、かわいいものが好きな清少納言さんは、今時のちょっとセレブなOLさんのような感じだったんでしょうね。
枕草子を改めて読んでみると、共感できるに違いない…。読んでみようかなと思いました♪
by 斉藤ようこ_nina (2005-12-21 16:17) 

オ 寒

急いで投稿したら、「てにおは」が間違いだらけでした。
ごめんなさい!
1・やがて最中は・・・
2・秀逸になるから・・・
なのだが?ごめんなさいね・・・・・・・
by オ 寒 (2005-12-21 16:59) 

おさる

こんばんは
橋本治さんの「桃尻語訳枕草子」は、20年近く前に読んだはずなのですが、
「シロップや氷が珍しいものだ」とは、、、
考えないで読んでました。なにせ高校生でしたし・・・。
今、読んだらきっとまた味わいが違うんでしょうね。
今度、図書館で借りてこようかと思います。

「虎屋」って私の田舎にもありまして・・・。
10年程前まで同じ店だと思っていました。恥ずかしい。
和菓子屋さんだったので、勘違いしていました。
正月にXmasケーキを特価で売る和菓子屋さん・・・。

あれ・・・。落ちませんでした。すみませんでし。m(_ _)m
by おさる (2005-12-21 22:13) 

tami

天野さん、こんばんは。
「あてなるもの」
あてなるものを、ただ並べて書いているだけ。何もそれについて詳しく書いていない。だから読むほうはそれを想像する。これは、清少納言さんは、決して「アネハ」しているわけではないのですね。(笑)
ところで、天野さん教えてください。大納言という小豆がありますが、どうして、小豆にそういう名前がついたんでしょうか?
by tami (2005-12-23 00:24) 

gillman

とらやさんって室町時代からあったんですね
僕はとらやさんのポケット羊羹が好きです(そういう名前かはわかりませんが…)
タバコの箱くらいの大きさのケースに二本入っています、運動の後なんかに食べるとチョコバーなんかより脂肪も少なくて効率的です
コーヒー味の羊羹もあったりして…
by gillman (2005-12-23 08:58) 

銀鏡反応

あまのさん、はじめまして。
「広告批評」のページであまのさんがブログを開設したというので来てみたら、なんとSo-net blogにて開設してらっしゃったのですね。
あまのさんの著書は20代のころから愛読しています。
「もつと面白い廣告」(大和書房)や「嘘八百!」シリーズ(文春文庫ビジュアル版)はサイコーです!
虎屋さんって、室町時代からある老舗なのに、新しいことにドンドン挑戦し続ける姿勢がかっこいいですよね。
六本木ヒルズの虎屋カフェで発売中のチョコとあずきのフォンダンは1度食してみたいですね。
虎屋最中はピンク色の「桜織」が好きです。
それでは、きょうはこれで失礼します。
by 銀鏡反応 (2005-12-23 20:27) 

ムンチョバ

あまのさん、虎屋の最中には感慨深いものがあります。
2~3歳頃、ケーキを食べたいなと思っていたのに、父が頻繁に買ってきては、お抹茶とこの組み合わせが、優雅で高尚だときっぱり宣言するので、おやつといえば虎屋の最中だった事を思い出しながら、読ませて頂きました。

あの頃、なんと爺むさい…と感じながら頂いていた同じものなのに、四十年近く経つと、『おぉ、すばらしい…』と寛ぎ味わう様になるものですね。

あまのさんの『優雅なもの』を拝見して、初めて父の言葉の意味が、理解出来ました。ありがとうございます。

兵庫県三田市認可NPO『魅力提案本舗』 代表 ムンチョバ。
 
by ムンチョバ (2005-12-23 21:41) 

あまの

「anmomo」さん。最中の語源は「オ寒」さんがすかさず答えてくれました。昔の人は、陰暦十五夜の月を「最中の月」と呼んだんですね。粋ですね。四角い最中は、これからは、「最中の餅」と呼びましょう。

「オ寒」さん。語源についてのご教示、ありがとう。その歌のことはしりませんでした。

「sola」さん。橋本治さんの本から、もう少し清ちゃんのことを紹介すると、平安時代の女性は漢詩がぜんぜん読めなかったんですって。ところが、清ちゃんは漢詩もすらすら読める「とんでる女」だった。で、男たちのアイドル的存在だったようです。そういう清ちゃんを嫌う女性もたくさんいて、その代表選手が紫式部だった。「ホント、清少納言って女は、したり顔でえらそうにしてる、やなヤツよ」と、ブログ、じゃない、日記のなかに書いているそうです。

「おさる」さん。たしかに虎屋っていうのは、あっちこっちにありますね。。ぼくのような者でも、酒さえあればすぐ虎になれるくらいですから、虎屋を名乗るのも簡単だったりして。そうそう、柴又にもありますよ。あれは寅屋か。

「tami」さん。尾張名産の大豆は大粒なので、尾州家尾張大納言にこじつけて言ったものですって。尾州家が中納言だったら、小豆の名前も中納言になったのかな。大納言っていうのは、太政官(政府)のおえらいさんだそうです。いまだったら、「純ちゃん小豆」とか。まずそうですね、これ。

「ひなぐま」さん。お読みになるなら、橋本さんの桃尻語訳がおすすめです。わかりやすくて面白いというだけでなく、清少納言の息づかいが聞こえてくる感じがする。枕草子の文章は、当時の話し言葉なんですね。おごそかに読んだりすると、清さんがくすぐったがるんじゃないかと、橋本さんも言っていました。

「gillman」さん。コーヒー味の羊羹ですか。考えただけで、心臓がとまりそうです。でも、出てるかもしれないな。出てたら、どうしようかんな。

「銀鏡反応」さん。ようこそ。六本木ヒルズの虎屋カフェで売ってるチョコとあずきのフォンダンというのは、食べました。味は、えーと、どういうか、そうですね、つまりというか、あまりというか、ま、あれこれ悩むより、食べてみるのが早いと思います。(若い人にはバカウケです)
by あまの (2005-12-23 23:13) 

あまの

「ムンチョバ」さん。ようこそ。40年前に虎屋の最中を食べていたなんてうらやましい。そのころ、ぼくは、もっぱら舟和のいもようかんでした。でも、いもようかんって、けっこうおいしいんですよね。いまもときどき食べたくなる。そうだ、あした買ってこよう。
by あまの (2005-12-23 23:20) 

ムンチョバ

ムンチョバです。
いもようかんも我が家の定番でしたよ(笑)こちらは、母が購入していたので、家計管理をどちらがしていたかは一目瞭然ですね。(^a^)

不思議なもので、幼い頃は「高尚」な味覚物の有難さも関係ないし、断然いもようかんのあの中途半端な自然物然とした甘さの方が、好きだったんですよね。最中は、もごもごして窒息しそうになるし…。
おぉ…。ちょっと、胸キュンな懐かしい気分。。。

わたしもいもようかん買いに行こうっと。
by ムンチョバ (2005-12-24 10:16) 

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