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吉祥招福 [ことばの元気学]

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「島森路子インタビュー集」(全2巻)ができました。14日ころには、書店さんに並ぶと思います。
この絵は、その中に載っている横尾忠則さんの絵です。
「横尾忠則ポスター展―吉祥招福繁昌描き下ろし!!」
と題された横尾さんのポスター展のギャラリートークの形で、島森さんのインタビュー(というより対談)は行われたのですが、その中で横尾さんはいろいろ面白いことを言っています。

「僕はもともと、広告は面白いものであるべきだと思ってるんです。日本の戦前の広告なんかを見ると、人間の感情がストレートに出てたり、あるいは人知を超えた神とか宇宙的存在を、距離感を持ったり否定するんじゃなく、日常の中に身近に引き寄せて作ったものが多いでしょう。僕は、大衆一人ひとりの欲望とか願望、祈りみたいなものは、昔もいまも変わっていないと思っているし、そういうものを、もっと広告の中に持ちこんでもいいんじゃないかと思うんです。いまの広告は、感情は排除される一方だし、私意識というものも否定されて、機能だけが優先されている。僕は、広告が商品から自立して、もっとそれが、人間の生活とか人間の感情の中で普遍的な役割をしてもいいと思うんです」

「現代のモダニズムというのは、西洋近代主義の理性的な判断、あるいは合理的な考え方のもとにつくられていて、それがまるで知性であるかのように錯覚されている。その考え方自体に、僕はふだんから疑問を持っているわけです。広告はもっと面白いものであるべきだと。面白くて、おかしくて、悲しくて、情けなくて、ときには恐ろしいもので、それでいいと思うわけ

そんな思いから、横尾さんは自分でスポンサーを集め、31点のポスターを「勝手に」作って展覧会を開いたのですが、「島森路子インタビュー集」には、そのポスターの中からとくに面白い8点が載っています。

島森「横尾さんが作るポスターにはいつも、幸せを招きたいという気持ちがあったということですね」
横尾「うん。思いというのは、一種のエネルギーですからね。それが形のうえでの吉祥ではなくて、抽象化された念の中に、吉祥・招福・繁昌、そういったものが全部入っている。だから、僕は自分のポスターは一種の魔よけだと思っているんです」

ほんと、横尾さんという人はすごい。
横尾さんのポスターを貼るスペースがうちにはないので、ぼくはときどき横尾さんの絵のついたTシャツを着て魔よけにしています。

「島森路子インタビュー集」はこちらでも買えます。→隠居屋売店
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