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正直の味 [ことばの元気学]


「銀のさら」が評判だ。味がではない。CMの話だ。
と言っても、このCMは、全国でやってるわけではないから、評判はyou-tubeで見た人たちのネットの中での評判である。
画面はだだっ広い原っぱ。手前には100人の人。奥には、銀座の高級すし店「高兵衛」と、宅配すしの「銀のさら」。
その2店をめがけて、100人の人たちがいっせいに走り出すのだが、向かうのは全員「高兵衛」だ。 
ところが、そちらには巨大な落とし穴あり、地雷原あり、さまざまな障害があって前へ進めない。とまどい迷う人びとをカウボーイが追い立てたりして、強引に全員を「銀のさら」へ……。 

突然だが、これを見てぼくは、26年前にたけしさんが作った歯磨きのCMを思い出した。
テーブルの前にすわった消費者(ラッシャー板前)と横に立つ司会者(ビートたけし)。
消費者の前には、その人がいつも使っている歯磨きと、サンスターの新製品が置かれている。
「こちらは板橋区の鈴木さんです。こっちが鈴木さんがいつも使っている歯磨き。こっちがサンスターの新製品。さあ、鈴木さんはどっちを選ぶでしょうか」という司会者の声で、いつもの歯磨きのほうに手を伸ばそうとする鈴木さん。と、その頭をたけしがピシャッとひっぱたく。慌ててサンスターを取る鈴木さん……。

この2つのCMに共通しているのは、「正直さ」である。企業はなんとしても、場合によっては無理矢理にでも、自分の製品を手に取らせたい、買わせたい。そんな企業のホンネを、そのままCMに「表現」したところが、実に「正直」そのものだということになるだろう。
が、それをストレートに言ったのでは、ミもフタもないし、それどころか、反感を買う。そのホンネをそのままではなく、笑いに昇華し、世間のCMというものが持つウソを面白くあばくことで逆に拍手がとれるかどうか。そこが決め手だ。

正直のこうべに神やどる。CMの評判をめでて、 今夜は「銀のさら」の駿河(1980円)でもとろうか。 

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(追記。この「銀のさら」のCMって、2年くらい前のものなんですね。京都の日比綾子さんのブログで、これが評判になってるのを知りました) 
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