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武器としての笑い [ことばの元気学]

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このCMにはびっくりした。
「だれか世の中をパッと明るくしてくれんかなあ」
と自粛過剰気味の暗い世の中をおちょくりながら、
「なんでオレ、バスの中でキンチョール持ってるんやろ、これ見よがしに」
と、おのれ(CM)の不自然さをおちょくり返す。

まさに大阪流のきわどい笑いだ、これは。
アホがアホを笑うというか、
「おれもアホだけど、あんたもアホだね」の世界。

大阪電通の堀井組といえば、かつては泣く子も黙るクリエイター集団(親分の堀井博次さんに言わせればアホ集団)だった。
関西電気保安協会とか、キンチョーとか、ケンミンの焼きビーフンとか、焼肉の晩餐館とか、大阪市の安全駐車とか、堀井組が作った傑作・名作・珍作は多い。それを、むかしまとめて「堀井グループ全仕事」という本を出したことがあるが、こんなに痛快なCM集は、世界中さがしてもないだろう。

その堀井さんの愛弟子というか、堀井組のDNAを受け継いでいま広告クリエイティブの最前線にいるのが、「ワトソン・クリック」の中治信博さんと山崎隆明さんだ。
中治さんは象印マホービンの岩下志麻シリーズやDAKARAの「余分3兄弟」、山崎さんはホットペッパーの「アテレコ」シリーズなど、それぞれヒットCMをつくりつづけている。ちなみに、冒頭で紹介したキンチョールの「これ見よがし」も、山崎さんのグループの作ったCMである。

今月の「クエイターズトーク」は、この二人をいっぺんに呼んでしまおうというぜいたくな企画で、2時間で収まる保証はまったくない。来てくれる人は、2時間半はかかるとみて、あとの約束を遅めにしておくといいと思う。

暗い顔ばかりしていてもはじまらない。「笑う」ことは、いまの日本にとても必要だと思う。が、モンダイは、その「笑い」の質だ。
「笑い」は、しばしば「慰安」である。が、これからのぼくらにとって大切なのは、困った常識や誤った形式と戦っていくための「武器としての笑い」だろう。

この二人の批評精神に富んだ「笑いのセンス」に、ぼくはあらためて学びたいと思っている。



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