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殺すな。 [ことばの元気学]

殺すな.jpg


これ、岡本太郎さんの字(絵?)です。
1967年、小田実さんや開高健さんや鶴見俊輔さんたちが発起人になって、ワシントンポストに反戦広告を出したとき、その広告のために岡本さんに描いてもらった字(絵?)です。当時はベトナム戦争のまっ最中で、アメリカに「そんな戦争はやめろ」と呼びかけた広告なんですね。

すごいなあ。とにかく、『殺すな』っていうコピーがすごい。
「戦争反対」なんてことばが、なんだかまどろっこしく感じられてくる。
と同時に、その言葉に「息」というか、「肉声」というか、「身体」を与えた岡本さんの「字」がすごい。これはもう「字」というより「声」であり、「叫び」であり、「音の絵化」ですね。この種の広告のビジュアルに、これ以上のものはちょっと考えられないんじゃないでしょうか。 

ことしも先日の憲法記念日に、この字(絵)を使った市民意見広告運動の意見広告が、朝日新聞に出ましたね。こういう意見広告を出すのって、たいへんなんですよね。
何がって、お金が。
朝日の1ページで、2000万円近くは要る。
それを市民に呼びかけてカンパしてもらって集めなきゃならない。
2000万円ですよ。2000万円。

ま、大企業が商品を売るのには、別に高くはない。企業の場合ははそれでモトがとれるから、黙って払っているわけですね。
でもさ、ふつうの人たちが意見広告を出すときも料金がそれと同じって、おかしくない?
すごーくおかしい、とぼくは思う。
で、企業が商品広告や企業広告を出すときの広告料と、一般市民が(団体にせよ個人にせよ)意見広告を出すときの広告料は、別のメニューでなきゃおかしい、と昔からぼくは言いつづけているんだけど、一向にそうならないんですね。

新聞ってさ、もともと大衆のためのものでしょ?
金持ちやおえらいさんのためのものじゃないでしょ?
だったら、とりあえず週に1回でもいい、紙面の1ページをふつうの人たちのための意見広告の場として、安い料金で開放したらどうなんでしょうね。
(投書欄じゃだめ。ちゃんとお金を払って、言いたいことを言える場でなくちゃ)

「日本が変わる」なんて言ってる新聞は、まず自分から変わってほしい、と思う寝ぼけまなこのゴールデンウイークなのでした。


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