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「大東亜戦争」ってか。 [ことばの元気学]

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こんどの首相は、はっきりものを言う。
今回、「かしこくも御名御璽によって」首相に任命された麻生首相は、先の戦争は「大東亜戦争」と呼ぶほうがふさわしいと、はっきり言った。

ま、形式的には、首相の認証は天皇陛下によって行われる。が、その天皇は、国民の象徴としての天皇であって、昔の天皇とははっきり違う。首相はあくまで国民が任命しているのだ。
それを「御名御璽」なんて、いまやほとんどの日本人が知らない言葉をわざわざ持ち出す必要がどこにあるのか。そんなことで、いちばん迷惑されるのは天皇陛下ご自身だということが、この人はわからないんだろうか。

で、「大東亜戦争」である。
先の戦争は「太平洋戦争」と呼ぶことにきまっているのに、それを承知で、あえて「大東亜戦争」という、戦争中の呼び方を持ち出す。
これももう、若い人にはなんのことかわからない言葉だと思うが、「大東亜」とは、第2次大戦中に日本が「極東と東南アジアをひっくるめた地域」に勝手につけた呼び名である。で、その地域の国々を欧米の植民地支配から解放し、日本を盟主とするアジアの新しい秩序を樹立するために起こした戦争という意味で、太平洋戦争を当時の日本では「大東亜戦争」と呼んだのだった。
あの戦争に、そういう意味合いがまったくなかったとは言えないだろう。が、いずれにしても、それは日本側から見た都合のいい呼び名であり、「聖戦」というイメージを含ませたネーミングである。

そうか、あの人にとって、あれは「聖戦」だったのか。
彼のあの言葉を聞いたとき、ぼくの頭の中に、子どものときにいやというほど歌わされた「大東亜共栄圏の歌」とか、あちこちで見かけた「聖戦完遂」とか「八紘一宇」とか「進め一憶火の玉だ」といったスローガンの群れが、鮮やかによみがえった。
こわいんですけど、こういうの。
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銀鏡反応

こんにちは。

麻生さんは、もう21世紀だと言うのに、「大東亜戦争」とか「御名御璽」なんて言っているんですか。う~ん、私は首相になる前から彼はそういうアナクロな気(け)がありそうだと睨んでいたから、割りと驚かなかったのですが。

それにしても…首相になってからも戦時中のフレーズを“堂々と”持ち出してくるとは。天野さんではないですが、何だか怖いものを感じます。
by 銀鏡反応 (2008-10-06 19:57) 

戦争体験記


天野さん 言葉、歌で平和・反戦を唱えられるし
又戦争を美化、煽ることもできると再認識
しました。天野さんが戦争の話題をしないかと
思っていました。先日に父の戦争体験記
「占守の春」を私のブログに転載しました。
http://ameblo.jp/shiggyadlive/entry-10142865633.html
北千島、占守島の話題です。
戦闘の場面はないですが不条理、
悲惨な体験談です。
一人でも多くの人に読んでいただければ
と願っています。
by 戦争体験記 (2008-10-06 23:48) 

ゆきよ

「ノーマケイン、ノーアソウ」
の私にとって麻生さんが首相になられたことはとても残念でした。

あんな、右翼マッチョなおじさんたちに囲まれて育った
なんちゃって右翼のおぼっちゃんが首相になるとは…

怒りが発酵しそうです
by ゆきよ (2008-10-07 00:23) 

根本久子

天野さん、こんにちは!

天野さんはクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」をご覧になりましたか?この映画の中に、日本兵が「日本軍は戦力の上では絶対的に不利である」「しかし、腰抜けのアメリカ軍にはない強靭な精神力があり、これを持ってすれば負けるはずはない」というようなことを、本気で(多分)言っているシーンがあったんです。

「大東亜」思想を復活させたら、きっとそういう冗談もオマケについてくるんですよね。むう。もっとマジメにやってほしいです。
by 根本久子 (2008-10-07 04:20) 

りろりろ。

はじめまして、天野さん。

私は麻生サンが首相になる日なんて絶対来る訳がない、来たらまた「過去の誤ち」繰り返しをしてしまう、と本気で思っていました(います)。

それなのに彼は今、大きな顔をして日本の代表の席に座っています…

私はこの人が日本の代表であることも、それを認めてしまった日本の現状も怖いです。

by りろりろ。 (2008-10-07 21:56) 

あまの

「銀鏡反応」さん。
毎日テレビに映る政治家たちの顔にくらべて、ノーベル賞をとった人たちの顔の誠実さ。ほっとしました。

「戦争体験記」さん。
戦争の悲惨を体験した方々の貴重な記録をブログに転載されるのは、とてもいいことだと思います。

「ゆきよ」さん。
米も日も、とにかく政権交代が必要ですね。

「根本久子」さん。
イーストウッドの硫黄島の2部作、見ましたよ。どっちも面白かったですが、米国編では戦争に貢献する広告の役割にぞっとしました。

「りろりろ」さん。
こんどの選挙が、いろんな意味で楽しみですね。



by あまの (2008-10-09 23:59) 

シギー

「戦争体験記」が名前になっていました。
シギーでした。
いいコメントをいただき載せた甲斐が
ありました。今月12日の朝日新聞に
「占守島」に関する「写真が語る戦争」
の記事が載る予告がありました。

by シギー (2008-10-10 01:58) 

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