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ひまのつぶし方 [ことばの元気学]

2原始人.jpg

ひまを手にした原始人たちは、それをどう使ったらいいのか、さぞかし困ったろうと思う。
黙って手のひらに乗せていたら、指の間からポロポロこぼれ落ちていく。
で、思わず「あ~~~~!」と悲鳴に似た声をあげた。
そこからきっと、歌という文化が生まれたんだろうと思う。
さらに、その歌を聞いただれかが、浮かれて思わず手足をふりまわした。
そこからきっと、舞踊という文化が育ったんだろうという気がする。
そんなふうに、人はひまをつぶすためのさまざまな遊びをするようになっていったに違いない。

なかには、悪い遊びもあったろう。
が、遊びの中には、それによって心がいきいきしてくるような、そんな遊びがあることに気がついた。
食べ物は肉体を再生産してくれるが、その遊びは精神を再生産してくれる。
それは心を耕してくれるから、「カルチャー(耕す)と呼ぼうぜ」ということになった。

たぶん、最初の文化は、原始宗教みたいな文化だろう。
そう、チチンプイプイ文化。人類最古の職業は呪術師だと思うけれど、彼がケガ人を相手に「チチンプイプイ」と呪文をとなえると、けがの痛みがあっちのお山へ飛んでってしまう。
呪術師は神秘の世界と人間の世界をつなぐメディアの一つだったわけ。

で、そんな宗教の道具として、音楽や舞踏や絵画や演劇のような芸術や芸能が使われ、育っていく。
その効用は、よくも悪くも「精神の再生産」なんだけど、そんなことはひまがなきゃとてもできないわけで、そうやって人間が、最高のひまつぶしを手に入れたのだ。文化を発明したんだと思う。
だから、人間からひまを引くと、動物になっちゃう。
仕事ばっかりして、ひまのない人を「働き蜂」というくらいで、あれは人じゃないの、蜂なの。
というわけで、ひまは文化の母なんだよね。で、遊びは文化の父。

ついでに言えば、文化人というのは、ひま人のこと。
文化会館というのは、ひまつぶし会館のこと。
文化勲章というのはひまつぶし勲章のこと。
文化支援というのは、ひまつぶし支援ってことなのだ。

ずいぶん荒っぽい話だけど、松山で話す時間は1時間しかないから、このくらいぶっ飛ばさないと、話が終わらない。
これで最初の10分はできたとして、さて次は……。

熱いから、ビール飲んでから考えよう。
(下は、ひまつぶし会館でひまをつぶしているひまじん)

講演.jpg



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ゆきよ

おもしろいですね!

先日、貧乏で仕事がない父のことを母が「ありゃあ自由人じゃけえね」
と言っていておかしかったです。

私の中では、自由人=お金と暇がある人のイメージがあったのですが、そう言われると、

お金がなくて暇がある人は、
お金に縛られていないぶん自由人だなあ、とか

家がなければ、配偶者がいなければ、言葉がなければ…
と考えていたら、何もない人=自由人なのかな、と思いました。

じゃあ、原始人は自由人かな、とも思ったけど、道具を使っていたのならちょっと違うし…

自由人て何だかさみしいものですね。

などと、自由についても考えてみました。
by ゆきよ (2008-08-25 21:55) 

あかみどり

「人はパンのみに生きるにあらず。」
と、かのキリストさんは二千年以上前におっしゃいましたが、
二千年後の自分もやっぱり、そう思います。
伝統文化にしろ、サブカルチャーにしろ、どれも腹の足しに
なるわけではないのに、それらを享受できる日本はやっぱり
豊かでヒマな国なんだなあ。

そういえば、今、松山では女子野球のW杯が行われているのですね。
あまり話題になってませんが、日本チームは強いですね。
by あかみどり (2008-08-26 12:02) 

あまの

「ゆきよ」さん。
面白いですね、お母さんの言葉。「自由人」なんて言葉、どこで仕入れたんだろう。「ぐーたら」とか「のんき者」とか、皮肉が80%、愛情が20%って感じ。「自由はいいけど、今の世の中ではまだまだ他人にメイワクかけることになるよね」っていうニュアンスでしょうか。

「あかみどり」さん。
日本はまだまだパンを追いかけていて、とても文化国家とは言えないように思います。タンス貯金を結構持ちながら、「カネがないから遊べない」なんて言ってる人が、まだ多いんじゃないでしょうか。
by あまの (2008-08-29 16:53) 

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