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まだあった [ことばの元気学]

「広告批評」のバックナンバーを整理してたら、
原発の広告がまだ出てきた。
1988年の6月に出た主要各紙に出た新聞広告。
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ま、例によって例のような広告だけど、2点とも新聞1頁の大スペース。力が入ってるなあ。
それはそうと、
このところ、原発存続の空気が強くなってきているようで。
来年あたり、こんな広告がちょっと意匠をかえて、また出てくることになるんだろうか。
脱原発・脱成長。なんとしても実現しないと。

あ、脱成長に関連して、
ヴァンス・パッカードの「浪費をつくり出す人々」を読み返してみた。
メーカーが繰り返す計画的陳腐化。その日常化。古い本だけど、新しい。
いまの「成長」は「暮らしを豊かにするための成長」ではなく、
「成長のための成長」に成り果てている。
原発なみに、これはこわい。
パッカードのことはいずれまた。
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テレビさんへ [ことばの元気学]

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けさ(23日)の朝日新聞の第1面です。うまいレイアウトだなあと感心しました。
「原発コスト4割高」というトップの大見出し。
そこに左から割り込むように、チェルノブイリの原発事故で汚染された地域の写真。
「立ち入り禁止」の立て札が、「原発コスト4割高」の記事の侵入に「NO!」と言ってるみたいで。
そうなんだよね。原発の発電コストが高くなろうが安くなろうが関係ない。
これはもう、お金の問題じゃない。
ちなみに先日の朝日には、同じ取材班によるこんな写真ものっていました。
原発事故で消えてしまった町や村の名札です。(撮影・日吉健吾さん)

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「今回の特集は原発国民投票です」という通販生活のCMにも、こういう墓標が必要のようで。
ただし、前回のブログで、放送を断ったのは「各放送局」と書きましたが、
あれはぼくの間違いで、断ったのはテレビ朝日ということでした。
ただ、ほかの民放局に申し入れても、たぶん答えは同じではないかとぼくは思います。
で、理由は前にも書いたように、
原則としてテレビは「意見広告」を扱わない、ということになっているからです。

ま、それも一つの考え方ではあると思います。
が、いままではともかく、いまのように日本中が大ゆれにゆれている時代に、
国民のための最も強力なメディアが、そんなノーテンキなことを言っていていいんでしょうか。

「原発をどうする?」「国民投票は必要かどうか?」「意見広告のあり方は?」といった問題を、
テレビはあくまでもテレビらしく、つまりわかりやすく、そして誤解を恐れずに言えば面白く、
とことん議論する場を、たくさん用意してほしいとぼくは思います。

そんなことをやっても視聴率がとれない、なんていうのは怠慢をごまかす言い逃れです。
だれも小難しくやってくれなんて言ってない。
視聴率がとれるような、面白いやり方でやってくださいな。
やれるでしょう。そういう知恵ならいっぱいあるでしょう。

とりあえずは、「通販生活」のあのCMは意見広告かどうか、
そんなところからやってみるのもテですね。
テレビショッピングよりは、きっと面白くできると思いますよ。
できれば、ネットもまきこんでね。



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これって意見広告? [ことばの元気学]



もうご存知の方が多いと思うけど、このCMの放送がテレビ局で断られたんですって。
ま、テレビは政治的な意見広告を扱わないことになっているので、これを政治的な意見広告と判断したんでしょうが、さて、どうなのか。
それに対するぼくの意見(異見)は23日の「CM天気図」(朝日新聞)に書きましたので、くわしいことはまた。

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絵の話・字の話 [ことばの元気学]

下は、谷内六郎さんの「北風とぬりえ」の中の「白い坂道」という章の絵です。
で、その下は、谷内さんが書いたその章の原稿の1枚目、手書きのものです。
当時はワープロなんてなかったし、あっても谷内さんは使わなかったでしょう。
で、その次のブロックは、同じ原稿を印刷用の文字で組んだものです。
上は明朝体、下はゴシック体です。
つまり、一つの絵に、原稿を3種類の書体で 並べてみたわけですね。

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何故、こんなことをするのか。
ま、隠居はヒマだから、ということもあります。
が、それだけじゃない。
絵と字の働きを、いろいろ考えてみたかったんです。

たとえばいま、絆、絆って、
やたらに「絆」って言葉が使われているけれど、
「絆」ってゴシック体で叫んだって生まれるもんじゃない。
手書きの文字が持っているような手触りのある言葉の力が、
本当の絆を生むんじゃないか、とか。

でもなあ、そんなこと、1人で考えていたって面白くない。
で、それを一緒に考えてくれる、すばらしい人見つけました。
ぼくがとても信頼し、尊敬しているデザイナーの葛西薫さんです。
というわけで、
こんどの日曜日、17日の夕方6時半から、青山ブックセンター本店ホールで、
葛西さんとトークをします。
内容は、谷内さんの「北風とぬり絵」の絵について。そして字について。
きっと面白いと思います。
何よりもぼく自身、葛西さんとしゃべれるのをとても楽しみにしています。

それにしても、谷内さんの作品はすごい。
谷内さんの描いた世界には、ぼくらが忘れてはいけないものがいっぱい詰まっている。
ぼくはそう思っています。

お申し込みは青山ブックセンターのHPで


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広告のゆくえ [ことばの元気学]

企業にとって、いちばん大切なのは「信用」です。
それも市民社会での信用です。世間の信用です。
そのことがいちばんわかっていないのが、いまの電力会社です。
テレビで昨今の九州電力の対応を見ていると、
あきれてものが言えません。だから、きょうは言いません。

で、話題一転。
このCM、見たことありますか。



たしか、おととしのカンヌ国際広告祭のフィルム部門で金賞をとったCMですが、東京からスタートした女の子と、福岡からスタートした男の子を、ずーっとドキュメンタリー風に追って、ウェブで流しつづけたらしい。その総集編みたいなカタチでテレビCMをつくったんだそうです。
CMそのものもよくできているけれど、そのプロセスをウェブで流し、話題づくりをしていったところが面白いし、新しい。
作ったのはクリエイティブ・ディレクターの伊藤直樹さん。

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この人の面白いところは、ウェブがらみの新しい広告の方法論を切り開いているところです。
こんどの「クリエイターズ・トーク」は、そのへんの話をたっぷりこの人に聞いてみたい。
マス広告万能の時代が終わったいま、広告のこれからを考える最も先鋭的な話がきけるんじゃないかと楽しみにしています。
13日(日)の午後2時、東大の福武ホール。ぜひ来てください。
クリエイターズ・トークHP

それにしても、九州電力は救いがたい。
あいた口がふさがらない。
で、ここ数日間、ずーっとあきっぱなしです。

Facebookページ 天野祐吉の「広告かわら版」
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