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明るい生活 [ことばの元気学]

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CMディレクターの中島信也さんとトークをしてきた。
トークの素材として、中島さんがこれまでに演出したCMを40本ほど見せてもらったのだが、
その中にこんな1本があった。数年前につくられたというナショナルの電球のCMである。



これって、なかなかいいよね。
ナショナルに限らず、これまで電球のCMといえば、明るさばっかり強調していた。
明るいこと=豊かなこと、みたいに。
その先頭を切ってきたのがナショナルで、
そのミュージックスローガンは
♪あかる〜いナショナル
 あかる〜いナショナル
 みんな家じゅう電気でう〜ご〜く
だった。
たしかにそれは、うれしいことだった。
60ワットの電球が100ワットに変わったときは、40ワットぶん気持ちが豊かになった。
が、このCMは言う。

「明るいだけでは未来は暗い」

いま、このコピーが、切実に心にひびく。
明るさはほどほどでいい。
問題は、その電灯の下の生活のあり方だ。
その下の生活が、これからどう変わるか。どう変えるか。
それが問われている。
で、CMの役割は、その下ではじまるこれからの生活のイメージを、どう描き出すかだ。
それも明るく。
こういうCMを世に送り出した以上、
ナショナル(パナソニック)のCMも変わっていかなきゃおかしい。
パナソニックに限らない。
どの企業も「豊かな生活」のイメージのフルモデル・チェンジをしなきゃおかしい。
広告会社もそれをいっしょになって手伝わなきゃおかしい。
勇気と決断をもってそれができるかどうか。
どうかなあ。できるかなあ。
それをやった企業が、21世紀のリーダー企業になれるんだけどなあ。


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