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ヤンキー内閣? [ことばの元気学]

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「笑う子規」(天野祐吉選・南伸坊絵・筑摩書房)より


なんだかがっくりの年の瀬だが、
世の中にはいいことを言う人がちゃんといて、
まだまだ捨てたもんじゃないなあと元気づけられる。

橋本治さんとか高橋源一郎さんとか斎藤環さんとか……あ、そうそう、斎藤環さんと言えば、
昨日(27日)の朝日新聞のオピニオン欄に載っていた斎藤さんの話は面白かったなあ。
読んだ? 
安倍政権の誕生は「ヤンキー社会の拡大映す」だって。

政権が変わるとさ、いつもマスコミって「○○内閣」ってネーミングするじゃない?
小泉内閣のとき、ぼくもテレビに聞かれて「ネコだまし内閣」って答えたことがあるけど。
で、こんどもまたマスコミは飽きもせずに、同じことをやってる。
もっとも、説明的なものばかりで、面白いネーミングには一つもお目にかかれなかったけれど、
斎藤環さんの話を読んで、「あ、これだ!」と思ったね。

ヤンキー内閣

斎藤さん自身が、こうネーミングしてるわけじゃない。
「いまの自民党は右傾化しているというより、ヤンキー化しているのではないか」
と斎藤さんは言ってるのね。少し抜粋させてもらうと、

「私がヤンキーと言っているのは、日本社会に広く浸透している『気合とアゲアゲのノリさえあれば、
まあなんとかなるべ』という空疎に前向きな感性のことで、非行や暴力とは関係ありません」

「自民党の憲法改正草案が天賦人権説を否定していると話題になっていますが、義務を果たした人間にだけ権利が与えられる、秩序を乱さない範囲内で自由を認めるといった発想は、まるでヤンキー集団の掟のようです」

「ヤンキーには、『いま、ここ』を生きるという限界があって、歴史的スパンで物事を考えるのが苦手です。だから当座の立て直しには強いけれど、長期的視野に立った発想はなかなか出てこない。自民党が脱原発に消極的なのは、実は放射能が長期的に人体に及ばす影響なんて考えたくないからじゃないですか。『まあどうにかなるべ』ぐらいにしか捉えていない節がある」

「保守は知性に支えられた思想ですが、ヤンキーは反知性主義です。徹底した実利思考で『理屈こねてる暇があったら行動しろ』というのが基本的なスタンス。世論に押されて実はヤンキー化しているマスコミがその傾向を後押しし、結果、日本の政治が無意味な決断主義に陥っています」

「マスコミの多くは選挙結果に戸惑っていましたがサイレントマジョリティたるヤンキー層のことが全く見えていません。もはや知性や理屈で対抗できる状況にはありません。ある種の諦観をもって、ヤンキーの中の知性派を『ほめて伸ばす』というスタンスで臨むしかないというのが私の結論です」

これだけの引用では不十分で、ぜひ、新聞にのったインタビュー(聞き手は高橋純子さん)を読んでほしいが、安倍政権の本質をこれほど鋭く言い当てている発言を、ほかにぼくは知らない。
もっとも、これは決して他人事じゃない。ぼくもぼく自身のなかにあるヤンキー的な資質を矯め直さなくっちゃ、としみじみ痛感している年の瀬だべ。(それとも、ほめて伸ばすか?)

人間を笑うが如し年の暮(子規)







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