地球村の超人運動会 [ことばの元気学]
でも、それは、オリンピックの競技が面白いから、というだけじゃない。ふだんのテレビがいかにつまらないか、いかに非テレビ的かということの証明でもある。ことしも終戦記念番組にいくつかいいものがありましたが、いつもながらのお笑い番組は、完全に色あせて見えました。
オリンピック中継を見ながら、感じたことのいくつか。
①石岡瑛子さんが担当した開会式の衣裳デザインは、いかにも石岡さんらしい厚みのある出来でした。アメリカ映画「ドラキュラ」の衣裳でアカデミー賞をとったほか、海外でめざましい仕事をつづけている石岡さんを、日本のジャーナリズムはもっと評価していい。足跡の花火がＣＧだったとか、歌をうたった少女は口パクだったとか、そんなあげ足をとっているひまがあったら、石岡さんの仕事をきちっと紹介しろ、評価しろ、とぼくは思いました。
②民放のオリンピック放送に出てくるキャスターやタレントにひどいのが多すぎる。とくに「勝てば歓声、負ければ悲鳴」のミーハー的熱狂に腹が立ちました。もっとクールにスポーツの面白さを語れないのか。出てくる選手のふるさと紹介とか、きょうまでの涙と汗の歴史とか、視聴者をミーハー扱いするのもいいかげんにしてほしい。試合の様子を淡々と伝えるだけでいいのです。
③テレビのおかげで、いまやオリンピックは、「地球村の超人運動会」になりました。国威発揚とか愛国心高揚の場じゃなくなったのは、とてもいいことです。でもまだ、ナショナリズムをあおるような動きが、ときたま現れる。それだけは、やっぱり気になりますね。
それはそうと、オリンピックをテレビで見ていて、ふっと昔の広告を思い出しました。
「みんなが山を見るときは、オレは川を見る。
みんながオリンピックで東京に集まってくるときは、逆にオレは旅に出る」
いいですねえ。その反骨精神。でも、それだけじゃ、世をすねたひねくれ者になってしまう。で――、
「テレビで観る。トリス飲む」
となる。つまり、旅には出ても、オリンピックはちゃんと宿のテレビで見ているよ、というわけですね。
世の中の動きに逆らっても、世の中と切れはしない。大好きな広告です。
ちなみに、このコピーを書いたのは、サントリー宣伝部の山口瞳さん。のちに直木賞をとった、あの山口瞳さんです。
「魂、気迫、根性、悲願・・・」
ここ数日のオリンピックのテレビ欄に掲載されたコトバを
いくつか抜き出してみましたが、戦時中のマスコミもこんな感じ
だったのかな、なんて思います。
トリスの広告が載った時代は今以上にオリンピック一色だったの
だろうけど、そんな戦争中のような空気をやんわりと批判している
ところが大人だなあ、と感じました。
by あかみどり (2008-08-17 12:09)
スポーツは、基本的にはテレビで観るのが一番だと思います。
昨夜は、野球場に行って、生の醍醐味を味わいながら、
時々、部屋に入ってテレビで野球を観戦するという、異様な楽しみ方をしました。贅沢でした。。。時々、オリンピックもテレビで、、、。
室伏選手が、５投目で２位になったんですね！
しばらく、興奮してると、
アテネのリプレイでした、むかつきました。。。
馬鹿なことして、自業自得かもしれませんが。
by とくさん (2008-08-18 20:46)
オリンピックと高校野球は本当に感動を与えてくれますね。
お笑いも嫌いではないですがくだらないテレビ番組が多いのは同感です。ユーモア、「よもだ」も好きですがセンスが問われると思います。
マスコミにスポイルされた選手はいい結果がないですね。
オグシオとかなんのことか知りませんでした。アイドル化し過ぎですね。
キャスター、タレントの騒ぎ過ぎは確かにスポーツの良さが
半減します。トリスの宣伝は粋ですね。
by シギー (2008-08-19 15:17)
「あかみどり」さん。
スポーツ競技も、疑似戦争の一種なんでしょうね。闘争本能のカタルシスの場であるうちは、いいんですけどね。
「とくさん」さん。
「リプレイ」は、モノクロにしてくれるといいですね。
「シギー」さん。
そうなんですね。テレビのお笑いに欠けているのは、粋の精神だと思います。「羞恥心」がなさすぎるのです。
by あまの (2008-08-21 12:42)
さすが！
そうですね。
モノクロか、セピア色の思い出にしてもらいたいですね。
by とくさん (2008-08-21 23:18)