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目から出た火 [ことばの元気学]

「目から火が出る」というのは、リアルというか、感覚的にすごく正確な表現ですね。出るもん、ホントに。
そのからだことばで、昔、朝日新聞のPR版に、朝日新聞をホメる原稿を書いたことがあります。ホメるといっても、ただホメるんじゃ芸がない。で、朝日は権威になりすぎている、そこが朝日の困ったところだが、権威になるくらい多くの人から信用されるというところが朝日のいいところでもある、ということを書いたんです。
具体的には、「アフリカの奥地には、いまでも火をおこすとき、おでこをぶつけあっておこす人たちがいる。こんな話をしても、いまどきだれも信じないが、“朝日新聞で見たんだけどさ”と前置きしてから言うと、“へえ”なんて本気にする人がいるから驚く」ってぐあいですね。もちろん、これは嘘っぱちですが、でも、「おでこをぶっつけると目から火が出る」という感覚のリアルさが、この嘘を支えてくれている。「目から火が出る」というからだことばがなかったら、ぼくの言おうとすることはもっとリクツっぽくなってしまったと思うんです。ホント、昔の人の感覚はすごい。

それだけに、新しいからだことばを作るのは、とてもむずかいい。でも、これは遊びですから、あまりむずかしく考えないで、気楽にいきましょう。

まず、既存のからだことばに対するみなさんの新解釈編。
「目を取って鼻におっつける」
これって、すごいことばですね。知ってる人って、むしろヘンな人じゃないかと思う。正解は「むちゃくちゃなことのたとえ」で、「耳取って鼻かむ」とも言うんですって。「ですって」ってことは、ぼくも知らないってことです。ま、こんなことばはなくなってしまってもいいと思いますが、でもね、「おしつける」じゃなくて「おっつける」というところがうまい。いかにも乱暴でむちゃくちゃな感じが出ている。で、あえて、ここでもとりあげました。
「teng」さんの答
 ①自暴自棄な様子。花粉症で目はかゆいし鼻水もとまらないようなとき、いっそ目を取って鼻に詰 めれば、一挙にモンダイが解決する。②前の①から転じて、できそうでできないこと。
「REN」さんの答
 ピエロになること。1人相撲に終わること。(目をとって鼻につけるとピエロみたいな顔になる)

「目が肥える」
「ヘロいん」さんの答
 ヒアルロン酸の注入しすぎ。成型の失敗。
「チンゲン斎」さんの答
 情報の取り込みすぎで肥えた目へのダイエット勧告。

「目に余る」
「midori」さんの答
 自分のこと。自は目より1画多い。

次は、新作編。
目の中の子ども=パラサイト・シングルのこと。目の中に入れても痛くないと思って目の中へ子どもを入れたら、いつまでも出てこないで困ってしまう状態。(「サワイ」さん)
マジ目=本気のしるし。(「あいつ、こんどの彼女はマジ目らしいぞ」)(「とく」さん)
目ドゥーサ=まつ毛パーマのしすぎ。クリンクリンの目。(「とく」さん)
目投げ=ウインク、またはサッカーのアイコンタクトのこと。(「おさる」さん)

といったところが、ぼくは好きでした。いちばんよかったのは、「サワイ」さんの「目の中の子ども」です。いるんだよなあ、そういう大きな子ども。

といったところで、次回は目から鼻へ抜ける、ということで、「鼻」にします。
例によって、「広告批評」にのった若者たちの珍答例。

鼻毛を読む(正解率9%)
 誤答例=細かい作業をする。鼻の穴をのぞく。大気の汚染状態を調べる。
鼻を明かす(正解率33%)
 誤答例=秘密を打ち明ける。なげやりになる。正体を明かす。
鼻白む正解率24%)
 誤答例=寒すぎて鼻水が凍る。血の気が引く。しらじらしい。
鼻息をうかがう(正解率62%)
 誤答例=熟睡しているかどうか確かめる。やる気を見る。

鼻もひっかけない(正解率65%)
 誤答例=気にしない。強烈すぎて嗅覚を失う。謙虚である。

ばかだなあ、と笑ってないで、あなたもばかな答を考えてください。
木で鼻をくくる、鼻息が荒い、鼻が利く、鼻が高い、鼻薬をかがせる、鼻にかける、鼻につく、鼻の下を長くする、鼻を鳴らす、などなど、鼻ことばは豊富です。
思いついたら、新作もどうぞ。
(絵・ミハラチカ)

おまけ。「広告批評」がからだことばの特集をしたとき、からだのさまざまな部分を撮った写真(瀧本幹也)を谷川俊太郎さんに見せて、それぞれに詩をつけてもらいました。そのなかの「鼻」。

 鼻が花を嗅ぐとき
 花も鼻を嗅いでいる
 いのちは匂い交わす


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スティッチの親分

お久ぶり~ね~♪
体調くずしてる間にこんなに天野さんに更新されてしまったぁ~~!
うぐぐ;;悔しい(なんで悔しいのだ?)
鼻になったんですね♪鼻鼻鼻♪
鼻がうるさい=花粉症でくしゃみや鼻ずるずる言わせてとにかく鼻がかゆくてたまらないこと♪
鼻から牛乳=鼻水は普通出るけど牛乳が出るくらい頭がからっぽでおバカな人のこと♪
鼻がニート=これはニセニートになりますが、世間から逃れようと現実から逃げてカッコイイと思ってる人がいて時代から取り残されるでしょう?鼻の嗅覚が利かず何かをやろうとしても商売も下手でこける人のこと♪
鼻ファインド=これは鼻がニートの逆でお金の匂いをすぐ察知してお金儲けしか考えず、まぁ一応お金儲けできる人のこと♪
死球鼻=鼻ぺちゃさんのこと♪
鼻が満開になってる=色っぽい女の人を見ると興奮する天野さん(笑)
天野さん、あの素敵な色っぽい女の人見て鼻が満開になってるよ♪って使うのら~~~♪(天野さまさま、すいませ~ん)
こんなん出ました~~~~!
それでは村上ファインドの社長の代わりに萩本欽一さんに謝っておきます~!絶対似てるこの二人・・・
ビル・ゲイツさん。絶対めぐまれない子や病気の子供の治療にお金使ってください。私にも100$ぐらい下さい~!
朝からハイテンションですいません~~~!
久しぶりで嬉しかったものでして・・・
by スティッチの親分 (2006-06-28 07:24) 

ヘロいん

こんばんわ、今回は新作を考えてみました。お目汚しかと思いますが・・・

・鼻も謳う・・・口だけではとても賛美しきれないほど素晴らしい様。転じて、口では飽き足らないほど、ありったけの美辞麗句で賛美する。太鼓持ち。
・鼻から目に来る・・・強烈なニオイを鼻が感じると、無関係そうな目までもジーンと痛くなる感覚。転じて、ショッキングな事実に何度も打ちのめされる様。
・鼻乾く・・・晩春の季語。ようやく終わってくれてホッとしてます。
by ヘロいん (2006-06-28 21:57) 

おさる

こんばんはでございます。
新作は思う付くのですが、なかなか「ばかな答え」は難しいですね。
既成概念が強すぎるんでしょうか?
あっ、
鼻息をうかがう
⇒耳鼻科のお医者さんが『「ふん~」ってやって!』っていいながら耳に手をあてている様。転じて聞き耳を立てる!の意
3点。。。。

新作は、
『鼻はがし』
⇒鼻パックをはがして見るとぷつぷつが一杯取れて
  ⇒びっくりすること

『(-鼻-凸)』
⇒外人が良く使う下品なサインの事

『鼻清らか』
⇒匂いに敏感な日本人の事

出直してきますでし m(_ _)m
by おさる (2006-06-30 23:22) 

midori

今度は鼻ですか。では1コ迷回答を。

【鼻にかける】

私は常日頃から、『傘を持つ』、『買い物袋を提げて歩く』ということに
えもいわれぬ不便を感じており、どーにかならんものかと思っていて、
「尻尾がほしい」だの「肘がもう一つほしい」だのワガママを言って
周囲を困惑させておりました。
傘や手荷物を鼻にかけられたら、どんなに便利でしょう。

・・・ということで、
「とんでもないワガママ・尋常でない要求」
あたりの意味で手を打ちましょうか。

例文)
 「パパ、空飛ぶ車でお迎えに来て」
 「子どものうちから、そんな鼻にかけるようなことを言うもんじゃない!」

・・・・・・玉砕です T▽T。
by midori (2006-07-02 13:07) 

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